尿酸“知”コンテンツ

合併症を
考えたレシピ

高尿酸血症に合併した生活習慣病も考慮したレシピをご紹介しています。

尿路結石症の合併を考えたレシピ①
食べる野菜「だし」

(監修)
帝京平成大学薬学部教授 金子希代子 先生
株式会社フォーラル 管理栄養士 孰賀佳冬 先生

高尿酸血症・痛風では、尿路結石症の合併も多いことが知られています。そこで、これからの3回は尿路結石症を合併する高尿酸血症・痛風の患者さんにお勧めするレシピを紹介します。前シリーズの「高血圧症の合併を考えたレシピ」と同様に、主食、主菜(メインのおかず)、副菜の3回で連載します。1回目は、副菜の『食べる野菜「だし」』です。暑い日に爽やかに食べられ、簡単にできるレシピです。

材料(2人分)
なす
1/2本
きゅうり
1/2本
みょうが
1/2個
しそ
1枚
味付きめかぶ
2パック

1人分

エネルギー
:17.5kcal
食物繊維
:1.75g
たんぱく質
:0.9g
食塩相当量
:0.7g
脂質
:0.25g
プリン体量
:18.0mg
糖質
:2.15g

エネルギー産生栄養素バランス(PFC)= P:20.0% F:15.0% C:65.0%

※エネルギー産生栄養素バランス(PFC):エネルギーを産生する栄養素(Protein:たんぱく質・Fat:脂質・Carbohydrate:炭水化物)のエネルギー比率を示したもの

作り方
  1. なす、みょうがは粗いみじん切りにして水にさらしてアクをとる
  2. きゅうり、しそは粗いみじん切り、めかぶはキッチンばさみで短くする
  3. 材料をすべて合わせてできあがり(今回はお豆腐にトッピングしました)
管理栄養士からひと言

味付けはめかぶのたれにお任せできる簡単レシピです。
ごはん、お豆腐はもちろん、お刺身や温泉卵にもトッピングできます。
めかぶなどの海藻に含まれる水溶性食物繊維は、生活習慣病の予防やお腹の調子を整えることが期待できます。
やまいも、オクラ、納豆などのネバネバ食品とも相性抜群なので、色々なアレンジを楽しんでください。

コメント

 高尿酸血症・痛風に尿路結石症を合併することが多い理由は、尿酸代謝に関係があります。血清尿酸値の高い状態である高尿酸血症、尿酸は溶けにくいため体内で結晶となってしまいそれを白血球が攻撃した際におこる関節炎(痛風発作)、どちらも体内に尿酸が多くある状態を反映しています。体内の尿酸は腎臓と腸管から排泄されますが、体内に多くある場合、その尿酸を排泄して恒常性を保つように働きます。その例として、プリン体を多く含む食品をたくさん食べると、尿中の尿酸排泄量が増えることがわかっています。
 尿路結石は尿中にある溶けにくい物質が固まってできると考えられます。尿路結石の成分としては、シュウ酸カルシウムが最も多く、尿酸やリン酸カルシウムも結石成分として知られています。尿酸が尿中に増えることで、尿酸結石だけでなく、シュウ酸カルシウム結石も作られやすくなります。
 最も頻度の高いシュウ酸カルシウム結石のリスクを上げる食品成分として、シュウ酸とプリン体があります。シュウ酸は結石成分そのものであり、プリン体は尿酸を生成する元の物質だからです。一方、リスクを下げる食品成分として、クエン酸とマグネシウムがあげられます。マグネシウムは、腸管内でシュウ酸と結合してシュウ酸の吸収を妨げるほか、尿中においてもシュウ酸と結合して可溶性のシュウ酸マグネシウムを形成し、シュウ酸カルシウムの結晶形成を阻止することが報告されています。マグネシウムは藻類、穀類、種実類、魚介類、豆類などのさまざまな食品に含まれますが、特に多く含まれるのは、あおさ、海苔、ワカメ、昆布などの藻類です。そのため、今回は藻類の代表であるワカメの下部、めかぶを使ったレシピを紹介しました。
 海に囲まれている日本は海藻も豊富です。上手に利用して、健康な毎日を過ごして下さい。