高尿酸血症とは

高尿酸血症について

(監修)
鳥取大学医学部ゲノム再生医学講座再生医療学分野
教授 久留一郎 先生

高尿酸血症の定義1)

高尿酸血症は、尿酸塩沈着症(痛風関節炎、腎障害など)の病因であり、性別・年齢を問わず、血清尿酸値が7.0 mg/dL を超えるものと定義されます。高尿酸血症は、尿酸ナトリウム沈着による痛風関節炎のリスクを有意に増加させますが、治療可能な病態です。一方で、血清尿酸値高値は、高血圧、糖尿病、CKD(慢性腎臓病)、脳・心血管病やメタボリックシンドロームなどの病態の予測因子・危険因子となる可能性が高いですが、これらの病態では臓器に尿酸ナトリウム沈着を認めません。しかしながら血清尿酸値の上昇とともに様々な生活習慣病のリスクが高まると考えられます。

血清尿酸値 > 7.0mg/dl

尿酸は、もともと血液に溶けづらく、温度やpHの低下によって溶解度が低下し結晶として現れやすくなります。通常の条件下であれば、7.0 mg/dL以下までは溶解すると考えられます。

痛風は、尿酸塩結晶による急性関節炎(痛風発作)をすでに生じた状態であり、急性痛風関節炎や痛風結節を認める疾患です。遺伝要因と環境要因があり、ある時点での血清尿酸値が高いほど、その後の痛風発症リスクは上昇します。

高尿酸血症の疫学2)

高尿酸血症の患者数は、年々増加しており、2010年頃には成人男性の20〜25%、成人女性の5%に高尿酸血症が認められています[図1]

図1
高尿酸血症の頻度の推移

高尿酸血症の頻度図
<対象>首都圏で勤務する約4万人の職域集団(1996 – 2004, 日本)
<方法>血清尿酸値の平均値を、性、年齢、年度別にプロットした。
<結果>男性において20~60歳代のすべての年齢層で高尿酸血症は増加傾向であった。
冨田眞佐子,水野正一:高尿酸血症は増加しているか?:性差を中心に,痛風と核酸代謝30:1-5,2006より改変

高尿酸血症により引き起こされる痛風の有病率は、30歳以上の男性では1%を超えていると推定され、現在も増加傾向にあります。国民生活基礎調査では、2019年の時点で、全国で125万人を超えているとされています。これらの調査によると痛風患者数も急速な増加傾向にあります[図2]。痛風患者の年齢分布によると、最も多いのが60歳代です。これに70歳代、50歳代が続きます[図3]。初発年齢は、30歳代が最も多く、これに40歳代、50歳代が続きます。

図2
国民生活基礎調査から推定される痛風患者数

痛風患者数

<対象・方法>厚生労働省が毎年行っている「国民生活基礎調査」のうち、3年に1度実施されている大規模調査にて推定された痛風患者数を集計した。
厚生労働省ホームページ 国民生活基礎調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html より算出

図3
性別・年齢別の痛風による通院者率(2016年)

性別・年齢別の痛風による通院者率(2016年)グラフ

厚生労働省ホームページ 平成28年国民生活基礎調査の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/06.pdf より作図

高尿酸血症の病型分類3)

血清尿酸値は、尿酸の産生量と腎臓や腸管からの排泄量のバランスにより保たれています。体内の尿酸プール(細胞外液や間質組織に存在する尿酸の量)は、成人男性では約1,200mgあって、700mgが日々産生され、ほぼ同じ量が排泄されていきます。約2/3が腎臓から、残りの約1/3が腎外(腸管)から排泄されます[図4]

高尿酸血症は、これらのバランスが崩れ、尿酸プールが増大したときに起こります。高尿酸血症の分類は、これまで尿酸産生過剰型、尿酸排泄低下型、そして両者の特徴をもつ混合型に分類されてきました。しかし近年、尿酸産生過剰型と考えられていた中に、腎外(腸管)からの尿酸排泄が減少する結果、見かけ上、腎臓からの尿酸排泄が増加しやすくなる病型が含まれていることが明らかになってきました。これをうけ、腎外排泄低下型が新たに加わりました[図5]

図4
尿酸プール

尿酸プール図

図5
高尿酸血症の病型分類

高尿酸血症の病型分類図

:原因部位

日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 96, 2018

KEYWORD

「腎負荷型高尿酸血症」

近年、腎外排泄低下型高尿酸血症の存在が明らかになったことから、尿中尿酸排泄量の増加を認める高尿酸血症をすべて尿酸産生過剰型と呼ぶことは誤解を招きやすいため、「腎負荷型高尿酸血症」という呼称が提唱されています。

日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 97, 2018

高尿酸血症の新しい病型分類(概念図)

高尿酸血症の新しい病型分類(概念図)

嶺尾郁夫 「新ガイドラインに基づく高尿酸血症・痛風の診断」診断と治療 107(12) 診断と治療社:1464, 2019

高尿酸血症のリスク4)

血清尿酸値が上昇することによるリスクは2つに分けられます。

❶ 尿酸塩沈着にもとづくリスク
痛風関節炎、腎障害などの尿酸塩沈着症の原因としての高尿酸血症

❷ 尿酸塩沈着にもとづかないリスク
さまざまな生活習慣病の病態において有用な指標(危険因子・予測因子)としての血清尿酸値

1.痛風5)

高尿酸血症が、痛風発症の必須条件です。遺伝要因と環境要因が関与しています。環境要因には、肥満、アルコール摂取、特定の食品の過剰摂取があります。遺伝要因としてトランスポーター遺伝子の変異や尿酸合成酵素の変異等が挙げられます。

KEYWORD

「尿酸トランスポーター」

腎臓において、尿酸は糸球体で濾過されたあと、近位尿細管上皮細胞にある尿酸トランスポーターを介して再吸収と分泌が行われ、最終的には糸球体で濾過された尿酸の7〜10%が尿中に排泄されます。

尿酸トランスポーターイメージ図

2.腎障害6)

尿酸の約2/3は腎臓から排泄されることから、尿酸排泄が低下する慢性腎臓病(CKD)では高尿酸血症が多く認められます。尿酸塩結晶の沈着による腎障害だけではなく、尿酸の直接作用(酸化促進作用、内皮機能障害、レニン・アンジオテンシン系の活性化、糸球体前の血管障害(輸入細動脈の血管障害)、腎尿細管細胞の上皮間葉転換など)により腎障害がもたらされることが明らかになってきました。

3.尿路結石7)

尿酸結石の危険因子は❶尿量低下(水分摂取不足)、❷持続する酸性尿(尿pH6.0未満)、❸尿中尿酸排泄量の増加です。高尿酸血症および痛風は、尿酸結石だけではなく、尿路結石で最も頻度が高いシュウ酸カルシウム結石形成を促進して、尿路結石の頻度を増加させます。

4.メタボリックシンドローム関連8)

高尿酸血症は、メタボリックシンドロームの診断基準に含まれていませんが、血清尿酸値が高いほどメタボリックシンドロームを有する頻度は高く、逆にメタボリックシンドロームの因子数が多いほど、血清尿酸値は高いことが明らかになっています。血清尿酸値と内臓肥満、高血圧、高中性脂肪血症、インスリン抵抗性の間にも関連があることが知られています。

5.高血圧と脳・心血管病9)

血清尿酸値が高いと、特に若年者、肥満者、女性で高血圧を発症しやすいとされています。また他の心血管リスクと独立して冠動脈疾患などの心血管病の罹患率・死亡率増加と関連する可能性があります。心不全については、その発症増加・増悪・全死亡率の増加と関連が認められています。一方、脳卒中の発症・死亡率への影響は明らかではありません。血清尿酸値と高血圧、脳・心血管病リスクとの相関性については、研究中であり解釈する際には注意が必要です。

6.総死亡(悪性腫瘍を含む)10)

血清尿酸値高値と総死亡との間には、関連がみられますが、有意な関連が認められたかについては報告により結果が異なります。また、血清尿酸値高値と総死亡との関連は男性よりも女性で強い傾向がありました。血清尿酸値高値と血圧、心血管病(CVD)、糖尿病、メタボリックシンドロームとの関連を検討したこれまでの研究でも同様の違いや性差がみられ、尿酸がこれらの疾患の発症に直接関与しているかは議論の分かれるところです。一方、血清尿酸値高値は、悪性腫瘍の発症リスク低下(特に肺がんリスクの低下)に関連する可能性があり、臓器によっては尿酸の抗酸化作用が悪性腫瘍の発症に抑制的に働く可能性も考えられ、さらなる研究が必要です。

  • 1)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 72-74, 2018
  • 2)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 19,20, 2018
  • 3)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 95-97, 2018
  • 4)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 72, 2018
  • 5)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 74-77, 2018
  • 6)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 78-80, 2018
  • 7)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 81-83, 2018
  • 8)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 84-85, 2018
  • 9)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 86-88, 2018
  • 10)日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 診断と治療社: 89-91, 2018