高血圧症の合併を考えたレシピ②
夏にぴったりピーマンの肉詰め
(監修)
帝京平成大学薬学部教授 金子希代子 先生
株式会社フォーラル 管理栄養士 孰賀佳冬 先生
高血圧症を合併した高尿酸血症・痛風の患者さんにお勧めするレシピの2つ目です。高血圧症の食事療法としては、食塩の制限(1日6g未満)、野菜・果物を積極的に摂る、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える、ことが勧められます。そこに、高尿酸血症の食事療法の基本である、適切なエネルギーの摂取、プリン体・果糖の過剰摂取を避ける、十分な飲水、を追加していきます。今回の『夏にぴったりピーマンの肉詰め』は、野菜と脂身の少ない鶏肉を使った「メインのおかず」として食べられるレシピです。
- ピーマン
- 4個
- 鶏ひき肉
- 200g
- 大葉
- 4枚
- 梅肉
- 少々
1人分
- エネルギー
- :185kcal
- 食物繊維
- :1.7g
- たんぱく質
- :18.2g
- 食塩相当量
- :0.2g
- 脂質
- :12.2g
- プリン体量
- :134.5mg
- 糖質
- :2.0g
エネルギー産生栄養素バランス(PFC)= P:39.4% F:59.4% C:1.3%
※エネルギー産生栄養素バランス(PFC):エネルギーを産生する栄養素(Protein:たんぱく質・Fat:脂質・Carbohydrate:炭水化物)のエネルギー比率を示したもの
- ピーマンはへたの部分を切り、種を抜いて洗う
- ひき肉とみじん切りにした大葉をよく混ぜる
- 2をピーマンに詰め、電子レンジ600Wで5分加熱する
- 梅肉を乗せてできあがり
暑い季節でも電子レンジなので作りやすいです。
さっぱりとさせるために鶏肉を選びました。
大葉、梅肉でさらに爽やかさが広がります。
それぞれ食材の味わいが強いため、調味料なしでも美味しく食べられ、減塩になります。
2020年10月に「循環器病対策推進基本計画」が閣議決定され、脳卒中、心筋梗塞等の循環器病に至る生活習慣病として、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等と並んで、高尿酸血症が記載されました。血清尿酸値は、循環器病に至る生活習慣病の第4のリスクマーカーであると考えられます。
循環器病は血管や心臓に関連する疾患で、血液の流れや圧力が正常ではなくなる不整脈や高血圧、動脈硬化などが症状として現れます。さらに血流が悪くなると、虚血性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞など、命に係わる疾患に至ります。高血圧が続くと動脈硬化が起こり、循環器病の原因となる訳です。一方、血清尿酸値の高い状態も、血管の炎症を引き起こして動脈硬化や循環器病の原因となると報告されています。
そのため、高血圧症と高尿酸血症を合併する状態は、循環器病につながる要注意の状態と考えられます。命に係わる循環器病を予防するためにも、生活習慣の改善が大切になります。冒頭に書いた食事療法の基本に加えて、飲酒制限(ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合程度)、運動習慣(中程度の強度の有酸素運動を中心に1日30分程度)も取り入れて下さい。また、自分の尿酸値、血圧の値、を定期的に測って把握することも大切です。
今回のレシピは、梅肉も使った夏にぴったりの爽やかな「おかず」になる一品です。食塩相当量も0.2g と少なく、1日6g未満を達成するのに役立ちます。