#09医療法人社団 清香会
おおしま内科胃腸科クリニック
https://www.ooshima-clinic.com/
北海道札幌市白石区南郷通18丁目北3-28
理事長/院長大嶋 哲夫先生
地域に根付いた広く・高度な診療体制
中学まで住んでいた地元札幌市白石区に開業してから27年、地域のかかりつけ医として、かつ高度な医療を提供できるよう努めてきました。
標榜科として、内科・胃腸科・アレルギー科・リウマチ科・小児科のほか、専門・特殊外来として糖尿病外来・膠原病外来・リウマチ外来・アレルギー外来・禁煙外来・漢方専門外来があります。消化器疾患の検査は一通りできる体制があるため、潰瘍性大腸炎やクローン病といった難病の若年患者さんもいます。また、膠原病の診療では、子どもから大人まで長期にわたって診ている患者さんも多数います。こうした専門・特殊外来があるため、より深い診療ができる体制を整えています。来院患者数は1日あたり150名を超えており、月間で延べ2,500名になります。
高尿酸血症・痛風患者さんへの生活指導
薬物療法を受けている高尿酸血症・痛風患者さんは年間300〜400名ほどいますが、痛風発作で通院する患者さんは1ヵ月10〜20名ほどです。
痛風発作は、必ずしも血清尿酸値が高値の患者さんで起きるとは限りません。血清尿酸値が7.0mg/dL程度でも痛風発作を繰り返す患者さんもいます。
高尿酸血症患者さんの8~9割は糖尿病または高脂血症を合併しています。無症候性の高尿酸血症患者さんは健康診断で指摘を受けて来院しますが、自覚症状がない分、指導が難しいところです。アルコールをやめればよいだろう、と軽く考えている患者さんも大勢います。そのような患者さんには、血清尿酸値が高いままだと腎機能が低下し、将来的には透析のリスクもあるという話をして、注意喚起をしています。中高年以上の高尿酸血症患者さんでは、腎障害との合併が2割程度を占めています。若年層では、他の合併症がなく血清尿酸値が高値を示すのみという患者さんや高LDLコレステロール血症を合併した患者さんが多数いますが、いずれにしても、患者さんへの指導はアルコール制限や運動、食事指導が基本となりますので、注意すべき食物について具体的に解説したイラスト入りの資材を使って説明します。血清尿酸値が7.0mg/dLまでは食事療法のみで対応していますが、8.0mg/dLを超えると薬物療法を実施しています。
この2年間は新型コロナウイルス感染症の流行で、体重増加や肥満が増え、血清尿酸値が高値となるケースが増加しています。高尿酸血症患者さんの男女比は、7対3で男性が大半を占めています。
経験豊富な手技で正確な鑑別診断を
スタッフは、医師1名、看護師6名、事務5名、超音波検査技師1名、内視鏡検査技師2名、薬剤師2名です。看護師のうち2名はリウマチケア看護師※で、制度が立ち上がってすぐに取得しました。超音波検査技師は、日本超音波医学会認定の超音波検査士(循環器領域、消化器領域)と、日本リウマチ学会認定の登録ソノグラファー(関節)の資格所有者です。そのため、吸入薬の吸入指導や生物学的製剤の自己注射といった患者さんへの服薬指導について、看護師や薬剤師が医師をサポートしつつ積極的に関わっています。
※日本リウマチ財団登録リウマチケア看護師制度は2010年に発足
開業当初は、私自身が超音波検査を行っていましたが、来院患者数の増加に伴い、対応しきれなくなりました。超音波検査は2015年から検査技師に対応してもらい、検査数は検査技師採用前では年間700件程度だったものが、現在では約2,000件程度に増えています。
超音波検査技師は、採用当初の専門は循環器領域であり、心臓や血管の超音波についてはすでに20年の経験がありました。さらに対応領域を広げて、腹部や関節も含めて、今では脳以外は全身の超音波検査に対応できるようになりました。最も多い検査は消化器ですが、時にはがんの早期発見につながるなど、精度の高い診断ができるので安心して任せることができます。
検査部位の内訳(2021年)は、腹部が43%と最多で、次いで関節 23%、頸動脈 19%、甲状腺 7%、心臓 4%、下肢血管 3%、その他体表 1%です。関節超音波検査の部位別内訳は、手指 42.3%、手関節 42.2%、膝 6.9%、足趾 3.3%、肘 2.3%、足関節 1.4%、肩 1.3%、股関節 0.1%、その他 0.2%となっています。
関節痛を訴える患者さんには関節超音波検査を実施し、関節リウマチや痛風関節炎、蜂窩織炎などの鑑別診断をしています。たとえば、痛風関節炎では足の母趾の付け根に炎症が生じる場合が通例ですが、時には膝関節など、他の足関節に炎症がみられたりするケースもあります。このほか、急性期の患者さんで診療に迷う場合や肩の痛みがあり、関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症が疑われる場合も関節超音波検査で鑑別します。
責任をもって治療できる体制を ― 医師同士の連携、人材育成
リウマチ外来には、関節痛や関節炎を有する患者さんが多く来院しており、生物学的製剤の自己注射をしている患者さんは70〜80名います。その多くが札幌市白石区内の整形外科6軒から紹介された患者さんです。内科でリウマチ科を標榜しつつ、実際に生物学的製剤を使用している病院は、白石区では当院を入れて2軒しかありません。今後は他の診療所の整形外科と診診連携し、当院で診療を受けた患者さんの経過などについて症例検討会を開き、フィードバックしていく予定です。
他の診療所からの紹介では、当院の診療で症状コントロールができた後に患者さんをお戻しするか、継続して当院で診ていくかは、紹介元の医療機関と事前に取り決めたルールに沿って対応しています。
当院では、超音波検査ができ、定期的な血液検査や投薬も行えますので、リウマチ・膠原病については鑑別診断から治療、経過観察まで、すべてカバーできます。そのため、基本的にはリウマチ・膠原病患者を他の医療機関に紹介することはありませんが、稀に呼吸器合併症があるなど、入院が必要な場合のみ紹介します。また、他の医療機関でCTやMRI検査を受ける場合もありますが、当院の超音波検査でも精査し、正確な診断をくだすようにしています。
それ以外の外科的疾患では、乳腺外科、脳外科、循環器外科、心臓外科、脊椎・肩・膝の手術など、医療機関ではなく、それぞれ信頼できる担当医に紹介することにしています。
当院ではリウマチや膠原病を中心に子供から大人まで長いつきあいをしており、今後も患者さんが安心して受診できるよう努めてまいります。そのためには、後継者を育成し、責任をもって診療できる体制を取れるようにしたいと考えています。また、5年ごとに患者さんにアンケートをとって、不満の解消に努めてきました。今では、駐車場を増やしたり、待合室を拡張したりして、患者さんの要望に応えることができています。