#03医療法人IRO
名古屋膠原病リウマチ痛風クリニック
https://www.nr-clinic.com/
愛知県名古屋市中村区名駅四丁目26-25
メイフィス名駅ビル3F
院長玉置 繋憲先生
理事長田中 郁子先生
骨と関節の専門クリニックとして開院
「専門医、街に出る!」がコンセプト
私たちは、内科医として大学病院や国立病院機構などで膠原病・関節リウマチ(RA)などの自己免疫性疾患や骨・関節疾患の専門医療に従事し、2011年に骨と関節の専門クリニックとして当院を立ち上げました。開院にあたっての基本コンセプトは「専門医、街に出る!」です。膠原病・RAに加えて、高尿酸血症・痛風、また膠原病・RAと同様に女性に多くみられる骨粗鬆症を中心に診療しています。
開院当時は今以上に、全国的にみて膠原病・RAなどの自己免疫性疾患を専門にしている医師、なかでもRA専門の内科医は少なく、特に東海地区はそれが顕著であり、膠原病・RAの内科医は大学病院や地域基幹病院で診療しているのが常でした。そのため、患者さんはインターネットなどの情報とご自身の症状を照らし合わせ、「RAかも?」と専門医を探すものの探し出せない、あるいは探し出せても直接アプローチをすることが難しく、まずクリニックを受診してから紹介してもらわざるを得ないのが現実です。この間に診断・治療が遅れ、病気が進行するケースが少なからずあります。しかし、RAは発症後1年以内に関節破壊が急速に進行する一方で、生物学的製剤を早期から積極的に用いれば関節破壊を阻止し、発症前と同じ社会生活を送ることが可能になりました。また、痛風や骨粗鬆症は生活習慣や老化によるものだといわれていますが、放置すれば合併症を併発するリスクがあり、本来は積極的に治療すべき疾患です。できるだけ早く多くの患者さんと出会い、長く付き合っていけるように努める、「専門医、街に出る!」という基本コンセプトにはそういった思いを込めています。
痛風は社員同士や産業医の勧めで
受診中高年だけでなく
20~30歳代の患者さんも
当院は完全予約制にしていますが、関節が痛いと思ったらいつでも気軽に来ていただけるよう紹介状は不要で、急性痛風関節炎(痛風発作)で急に痛みが出たときには予約なしでも診察を行います。開院当初は、街で当院の看板をみたり、インターネットで調べたりして来院される患者さんがほとんどでした。働き盛りの男性に多い高尿酸血症・痛風では、当院がオフィス街にあることもあって痛風発作を発症したときに、「そういえば」と当院の看板を思い出し飛び込んでこられる患者さんが少なくありません。また、会社の健康診断で高尿酸血症を指摘されたことをきっかけに、当院を受診する患者さんも多くおられます。その後、当院の患者さんである同僚や、産業医に勧められたと来院する患者さんも増えました。
現在、定期的にフォローアップしている患者さんは約2,000名おり、名古屋市内のみならず、愛知、岐阜、三重、長野、滋賀、富山などからも来られています。そのうち痛風の患者さんは700~800名です。そのほとんどが男性で、最近は初回発作年齢が若年化していることもあり、かつてのように40歳代後半~50歳代の中高年ばかりではなく、20~30歳代の患者さんも増えています。
ワンストップ&オーダーメイドで
関節の痛みや腫れの原因に介入
当院は、リウマチケア看護師や骨粗鬆症マネージャーなど、認定資格を取得したスタッフが多く在籍しています(写真)。私たち2名の医師のほか、看護師3名、薬剤師1名、管理栄養士2名、臨床検査技師3名、放射線技師5名、事務スタッフ8名が一丸となり、検査から治療に至るまでワンストップで診療しております。診察室と各検査室はそれぞれバックヤードで繋がっており、珍しい症例があるとすぐに伝わり、自然とスタッフが集まってリアルタイムで診療を学ぶ場となります。興味のある症例では自身で再診の予約日を確認し、その患者さんの治療経過を見学しに来るスタッフもいます。こうして各々が専門クリニックの一員として、常に向上心をもち日々勉強しています。
高尿酸血症・痛風外来では、20歳代で初めて痛風発作が起きている患者さんもいらっしゃれば、何年も前から痛風と診断され何度も痛風発作が起きている患者さんもいらっしゃいます。患者さんによって生活習慣病や病歴も違うため、それぞれ必要な検査を患者さん一人ひとりに合わせて選び、実施しています。また、高尿酸血症・痛風の診断には、RAや偽痛風、化膿性関節炎、外傷性関節炎など別の疾患の可能性を丁寧に除外していくことも重要です。そのために必要な検査を患者さんごとに考え、オーダーメイドで治療計画を組み立て提供しています。
高尿酸血症・痛風は治療継続が重要な疾患であるとともに、痛みが和らぐと通院をやめてしまう患者さんが多い疾患でもあります。そのようななかで、当院は多くの患者さんに継続して通っていただいています。治療を継続していただくために、検査結果をフィードバックし、それをもとに「今、あなたの体の中で何が起こっているのか」、「どうしてこうなったのか」をしっかりと説明します。治療は『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』1)に則り、尿酸降下薬による薬物治療を基本に進めていきますが、高血圧やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病との関連があるので、「痛みや腫れをとればよい、尿酸値を下げればよいというものではなく、生活習慣の改善が必要です」と強調しています。高尿酸血症・痛風は尿酸代謝異常の疾患であるため本来内科が診るべきですが、患者さんはまず整形外科へ行ってしまうことが多いのが現状です。今後わが国の医療では、整形外科ではなく内科を受診していただくために、内科医はより一層高尿酸血症の治療に取り組むべきだと考えています。
高尿酸血症・痛風コホート解析から
得られた知見を臨床に還元
生活習慣の改善については、医師が必要だと判断し、患者さんが同意した場合には管理栄養士による栄養指導を実施しています。まず初回に、身長、体重、腹囲などのボディチェックや体組成測定、食生活や生活習慣の聴取などを行い、患者さん個々に適正摂取カロリーおよび適正体重を提示し、適切な食事バランスを指導します。2回目は、1ヵ月後に来院いただき、超音波検査で脂肪肝が確認されれば、それに対する食事指導を行います。その後、1ヵ月ごとに受診していただき、食生活や生活習慣が改善しているか、減量ができているかなどを確認します。生活習慣は容易には改善しないため、長期的にサポートしていく必要があります。当院では、多職種がそれぞれの専門性から長期にわたり患者さんと常に伴走することを心がけています。
また、当院を受診した高尿酸血症・痛風患者さんの初診時から受診ポイントごとの生化学データ、ボディチェックや体組成データ、生活習慣調査、画像データなどすべてのデータを収集して前向きコホートを作成・解析しています。これまでに、体重をまず3kg減少させることにより治療効果を高めることが期待されたと報告しています2)。このように現在も研究を続けており、今後もコホート解析で得た知見を臨床に還元していきたいと思っています。
References
1) 日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会(編).高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版.東京:診断と治療社;2018.
2) 荒尾友里恵,他.痛風と核酸代謝.2017;41:75-6.