プリン体の理解を深めるレシピ①
干物を味わうアクアパッツァ
(監修)
帝京平成大学薬学部教授 金子希代子 先生
株式会社フォーラル 管理栄養士 孰賀佳冬 先生
尿酸値の高い人の中には、干物はプリン体が多いと心配している人がいると思います。そこで今回は、干物を上手に使って美味しく食べられるレシピを紹介するとともに、干物中のプリン体の説明をします。
- アジ干物
- 3切れ
- きざみにんにく
- 小さじ1
- ミニトマト
- 9個
- 冷凍ブロッコリー
- 9個
- オリーブオイル
- 小さじ2
- 白ワイン
- 小さじ2
- 水
- 100cc
- バジル
- お好みで
1人分
- エネルギー
- :154 kcal
- 食物繊維
- :2.4g
- たんぱく質
- :15.5g
- 食塩相当量
- :1.1g
- 脂質
- :8.6g
- プリン体量
- :182.7mg
- 糖質
- :1.8g
エネルギー産生栄養素バランス(PFC)= P:40.3% F:50.3% C:9.5%
※エネルギー産生栄養素バランス(PFC):エネルギーを産生する栄養素(Protein:たんぱく質・Fat:脂質・Carbohydrate:炭水化物)のエネルギー比率を示したもの
- 干物はよく水分をふき取る
- ミニトマトは半分にしておく
- ホットプレートにオリーブオイルときざみにんにくを入れ、干物を皮目から両面焼く
- ミニトマト、ブロッコリーを干物の周りに並べる
- 白ワイン、水を加えて蓋をして加熱したら出来上がり
干物はお好きなものを選んでください、今回はアジにしました。
ホットプレートではなく、フライパンでも調理できます。
うまみの出るきのこ類や、バジルの代わりにしそを使ってもおいしく作れます。
スープにはうま味がたくさん出ているので、シメにリゾットを作るのもおすすめです。
尿酸値の高い患者さんから「魚の干物が好きなのですがプリン体が多いから我慢しています。やはり我慢しなければいけませんか?」と相談を受けたことがあります。お答えは「同じ一尾なら、生でも干物でもプリン体量は同じです。1食に一尾程度であれば、決して多い量ではないので、心配せずに食べて下さい」となります。
もう少し詳しく説明します。
確かに、干物のプリン体は生の魚のプリン体より多いことが知られています。アジを例にとると、生のアジのプリン体量は165.3mg/100g、干物のアジだと245.8mg/100g と、干物が生の1.5倍になっています。一尾あたりに含まれるプリン体量は同じなのに、干物で多くなる理由は、干物では水分が蒸発して軽くなっているためです。食品に含まれるプリン体量は、100g あたりで計算します(他の食品成分も同じです)。一尾あたりのプリン体量は同じでも、干物では水分が減って軽くなった重さで割ることになるので、100g あたりに換算すると、見かけ上、増えてしまうのです。『水分が減って濃縮されている』と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
またプリン体にはいろいろな種類がありますが、干物ではうま味の素になるヒポキサンチン類のプリン体の比率が生の状態より多くなっています。ヒポキサンチン類のプリン体は肉や魚に多く含まれ、新鮮さや熟成度合を示す目安としても使われています。
水分が減った分、味が濃くなっていることと、うま味の素になるプリン体の種類が増えていることから、干物は生の状態より美味しく感じるのだと思います。ただ、干物には塩分が多めに含まれるので、食べる量は一尾程度にするのがお勧めです。