薬剤師eye

#6 ドラッグセイムス 運河店

店舗紹介

ドラッグセイムス運河店は千葉県流山市の北端に位置する東武野田線運河駅前の調剤併設型のドラッグストアです。この地域は明治時代に水運の要であった歴史的遺産の利根運河が近くを流れ、近隣には東京理科大学野田キャンパスもあり、若い方からお年寄りまでさまざまな年齢層の方が暮らす街です。調剤薬局では近隣の医療機関を中心に1,400枚/月程度の処方箋を応需し、薬剤師3名で業務を行っています。また、同じ店舗内のドラッグストア従業員とは密に連携を取り合い、ともに地域に根付いた薬局・ドラッグストアとしてお客さんに頼っていただけるよう日々励んでいます。

通信機器を用いた服薬指導の利点

医療デジタルトランスフォーメーション(DX)に対応するための一環として、薬局ではビデオチャットを用いた「オンライン服薬指導」の機能を取り入れています。当薬局ではコロナ禍において、行動制限や感染拡大防止などの理由から多くの患者さんにこのシステムを活用いただきました。電話による音声のみではなく、映像を通して実際に患者さんの顔をみることができ、さまざまな情報を取得することができます。また、ご自宅などではプライバシーが守られた環境下でお話しができるため、服薬状況だけでなく詳しい病状をお話しいただけたり、映像から薬局でのお話ではわからない患者背景(生活環境など)も把握できることがあります。こういった情報は服薬指導をする薬剤師にとっては非常に重要なことですので、オンライン服薬指導の優れている点の1つと考えます。

このシステムには別のメリットもあります。長期処方薬や一包化、粉・軟膏の混合など調剤に時間のかかる薬剤を、薬局での待ち時間なく受け取ることができる点です。薬は準備でき次第薬局から患者さんの自宅へ発送され、薬代の決済もアプリ上でできるので、わざわざ薬局に赴いて待合室で待つという過程がありません。また、患者さん自身でオンライン服薬指導を受ける時間帯を選択でき、自宅以外の外出先など、ライフスタイルに合わせて利用できるのも利点です。さらに患者さんが転居されたり、薬剤師が異動することになっても、この機能があれば必要に応じて全国どこでも対応可能です。「オンライン服薬指導」は有用な手段ではありますが、一方、対面での服薬指導に比べると、患者さんのわずかなしぐさや目線、雰囲気などが読み取れないところもあり、特に外用薬の指導においてはどのくらい理解されているか把握しづらいという一面もあります。対面指導以上に十分なコミュニケーションをとり、医療の質を落とさないことが今後の課題だと思います。

写真オンライン服薬指導

今後の展望

オンライン服薬指導は、当初は医療にアクセスしにくい地域に住む患者さんでも、安心して医療を受けられる環境をつくるためのものでしたが、その可能性はさらに広がり、感染症対策や医療従事者の働き方改革としての効果も期待できます。コロナ禍で多くの方がリモートでのコミュニケーションを経験し、その利便性も実感し、環境も整いつつあります。薬剤師も店舗からだけではなく、自宅など薬局ではない場所からの服薬指導も可能です。育児中など、外に働きに出にくい方が働ける機会の提供にも繋がります。そのためには、オンライン服薬指導を行える薬局としての機能(機器の設置)と、それを使いこなす薬剤師の技術が必要です。

当薬局は、薬局に来店された患者さんにも、オンライン服薬指導を受ける患者さんにも質の高い薬局サービスを提供できるよう、知見をさらに広げ、患者さんのお役に立てるよう努力してまいります。