薬剤師eye

#5 ハート調剤薬局

地域医療に貢献するための取り組み

ハート調剤薬局は豪雪で有名な北海道岩見沢市の中心部にあり、門前の循環器内科クリニックをはじめ眼科、耳鼻科、総合病院などから約1,400枚/月の処方箋を応需しています。特色としては健康サポート薬局、検体測定室、感染症患者さん専用待合室を完備し、地域住民の方々が安心して利用していただけるような店舗づくりを心掛けています。なお、営業時間は8:30〜18:30、薬剤師5名、調剤アシスタント2名で業務しています。

感染症患者さん専用の待合室設置とその利用実態

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の流行下において、感染された患者さんと感染されていない患者さんが薬局内で一緒にお待ちいただくのは好ましくないため、当初は屋外で仕切りを作り、感染症罹患の患者さんにお待ちいただきました。ただ、寒さの厳しい北海道では冬になると寒くてさらに具合が悪くなってしまうとのお声がありました。車で来局している方は車内で待機が可能ですが、高齢者が中心の当薬局では多くの患者さんが公共交通機関やタクシーを移動手段にしているため、対策として感染症患者さん専用の待合室を増設することにしました。外気温に左右されないように冷暖房完備はもちろん、プライバシー保護の観点からすりガラスにするなどの工夫を施しています。さらに門前クリニックにお願いし、感染の疑い(風邪症状や発熱)がある方はご家族が来局した場合も含めすべての方に感染症患者さん専用の待合室に入ってもらうようにしました。このような取り組みの結果、薬局内でクラスターが発生することはありませんでした。

新型コロナウイルス感染症は2類から5類感染症に移行しましたが、まだまだ予断を許さない状況のため、今後もさまざまな感染症に対応できるように対策をしていきたいと考えています。

健康サポート薬局の認定を受け、地域医療に貢献

当薬局は2017年から健康サポート薬局の認定を受けています。健康サポート薬局とは「患者が継続して利用するために必要な機能及び個人の主体的な健康の保持増進への取組を積極的に支援する機能を有する薬局」を指しますが、簡単にまとめると市販薬や健康食品に関することはもちろん、介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる薬局のことを指しています。当薬局ではOTC医薬品を、必要となる基本的薬効群の48品目取り揃えているだけでなく、シーズンごとに流行るであろう薬剤を入れ替えています。夏には熱中症対策で経口補水液や虫刺され用の薬、冬にはカイロや生姜湯など体を温める商品を待合室のみやすいところに展示し、患者さんに注意喚起しています。また、コロナ禍で注目されている腸内免疫コーナーなども設け、患者さんの健康に貢献できるよう意識をしています。

写真感染症患者さん専用の待合室

今後の展望

今後、薬局としては時代の流れに応じさまざまな機能を求められますが、まずは基本に立ち返り、昔ながらの薬局を目指したいと思います。処方箋を基に調剤をすることは当たり前ですが、健康サポート薬局の特性を活かし、患者さんが病院にかかる前に「これってどうなんだろう」と気軽に相談でき、セルフメディケーションで対応できる場合には患者さん自身で、できない場合は受診勧奨をするといった懸け橋的な役割を目指していきたいと思います。また、地域住民向けの相談会や講演会などを企画することで地域住民の方との交流を深め、地域の健康促進発信拠点になり、「ハート調剤薬局に聞けば安心できる」といっていただけるような薬局づくりを目指します。

また、地域特性より高齢者が今後ますます増加することが予想されるため、在宅業務に力を入れていきたいと思います。そのためには、門前クリニックの先生とも相談しながら、周辺地域に対し在宅サービスの存在を積極的にお知らせし、サービスの充実を図りたいと思います。