#7 薬局スーパードラッグ キリン万呂店
店舗紹介
薬局スーパードラッグキリン万呂店は和歌山県田辺市にあるドラッグストア併設の薬局です。美しい海や山、川、世界遺産の「熊野古道」など、歴史や文化が感じられる風光明媚な過ごしやすい地域です。
門前に特定の医院はないものの、国道沿いの立地ということもあって、地域の基幹病院や診療所・クリニックから幅広く処方箋を応需しています。1ヵ月の処方箋枚数は1,300枚前後で、1,800を超える医薬品を取り扱っており、薬剤師3名と調剤アシスタント2名で業務にあたっています。
健康測定機器の活用がもたらした好循環
当店では、2023年5月に店舗のドラッグストアの改装に合わせて調剤室を拡張した際に、薬局の待合室のすぐ近くに専用のブースを設けて健康測定機器を設置しました(写真)。
健康測定機器は、血圧計の他に、骨の健康度(骨密度)を測定する機器、体重・体脂肪率・内臓脂肪の状態を調べる体組成計、血管の健康度を測定できる血管年齢測定器の4つを常設しています。薬局待合室の出入り口付近にブースを設置しているため、調剤の待ち時間に利用される方以外にも、ドラッグストアでの買い物ついでに利用される方も多いです。皆さんからの評判は上々で、機器設置後半年ほどではありますが、定期的に利用される方も多くいらっしゃいます。
ブースが医薬品売り場に位置していることもあり、われわれスタッフは健康測定機器を利用した方から、さまざまな相談を受けます。日常生活での注意点や改善点、市販薬やサプリメントの必要性やどの製品がよいかについて相談を受け、薬局では現在飲んでいる処方薬や市販薬に関する質問、今後の治療の必要性について相談を受けます。最近では骨の健康度に関する質問を受けることが増えてきたと感じています。薬局で相談を受けた際には、骨粗鬆症の基本的な説明をして、食事面や日常生活での運動面などについてアドバイスをし、必要に応じて医療機関への受診を勧奨しています。また、すでに骨粗鬆症の薬を服用している患者さんに対しては、骨密度の測定結果を考慮したうえで、治療継続の必要性や現在服用している薬の継続の可否について医師に相談するようにアドバイスをしています。
健康測定機器を導入したことにより、ドラッグストアは買い物、薬局は処方箋の薬をもらう場所という認識から、われわれの店舗が自身の健康状態を把握して相談できる場所という認識へ変わりつつあり、利用する方の間口が広がってきていると感じています。同時に、薬局薬剤師は、医療用医薬品のことだけを学ぶのではなく、市販薬やサプリメント、生活習慣、栄養管理など幅広い知識が必要であり、併設しているドラッグストアのスタッフとの連携もこれまで以上に必要であると実感しています。
健康測定機器を用いた接客の今後の展望
近年、自身の健康状態をチェックするツールとして、スマートウォッチなどのデバイスも増えていることからも、健康志向の高まりは必然の流れであり、健康測定機器の導入はあくまでもその一歩であると思っています。
健康診断など、年に1回程度のセルフケアから、日常的に健康状態をチェックするような積極的なセルフケアへの変遷期に突入しているため、薬局にできること、求められる役割も変わってきていると感じています。今回導入した健康測定機器を入り口として、市販薬やサプリメント、日常生活のアドバイスは登録販売者が、栄養面や運動面は管理栄養士が、現状の確認から医療機関の受診勧奨については薬剤師が担えるような横のつながりを強化していき、ゆくゆくは店舗を利用される方の健康維持のため、すべてをワンパッケージでケアできる土台を築けるように努めてまいります。