薬剤師eye

#3 吉田モリキ薬局

店舗紹介

基幹病院であるJA長野厚生連 北信総合病院を中心とする約2㎞圏内にモリキ調剤薬局が3店舗あり、吉田モリキ薬局はそのうちの1つです。処方せん応需枚数は月に約3,200枚で、内科・皮膚科・泌尿器科・小児科・精神科・眼科・整形外科・総合病院など、応需医療機関は約200軒、患者さんは乳幼児から高齢者、在宅療養されている方まで幅広い層にご利用いただいています。また、モリキ調剤薬局が3店舗存在することでエリア内での医薬品不足をカバーし合い、患者さんにご不便をかけない対応も特徴です。

写真1服薬情報等提供書

医療機関との連携・情報共有の取り組み

吉田モリキ薬局では、薬剤師業務を対物業務から対人業務に切り替えるべく、どのように患者さんにかかわっていくかを従業員で議論を重ねてきました。ちょうどその時期に、近隣の総合病院で抗がん剤治療をしている患者さんが処方せんを持参することが多くなってきました。そこで、がん患者用のフォローアップの雛型を作成し、総合病院の薬剤部にも確認していただき、フォーマットを完成させました。総合病院のWEBサイトにがん化学療法のさまざまなレジメンが記載されていますが、従業員で1つ1つ確認し、副作用など注意する部分を検討することで、患者さんへの質問事項などアプローチ方法が明確になりました。

また、近隣の診療所・クリニックの先生方に服薬指導後のフォローアップについて説明し、次回の診察に活用できる「服薬情報等提供書」を送付するなど環境づくりに努めました(写真1)。

この他にも、近隣の小児科においてはじめて吸入薬を開始した患者さんの処方せん備考欄に吸入指導コメントを記入する取り決めをし、吸入薬が処方された方の支援にも力を入れています。

さらに患者さん向けとして、薬剤によってフォローアップを行う時期が異なることに注意を払っています。たとえば血圧の薬剤が変更になった場合は、変更後すぐには血中濃度が安定していないことが予想されます。添付文書の薬物動態の項を確認し、血中濃度が定常状態に達する時間を計算して、患者さんにフォローアップの予定日を提案しています。逆に、はじめて錠剤を服用するお子さんには服薬指導後、数日中に服薬状況を確認するようにしています。

これらの患者さんに関する記録は薬局従業員の誰が読んでもわかるように日付や内容の詳細を記録するよう心掛け、また次回の来局時に参照しやすいよう薬剤服用歴の記録の「指導計画欄」に記録し、処方医から連絡があった場合は他の従業員にも共有するようにしています。これは従業員全員の意識向上につながっています。

取り組みによるメリット、課題および今後の展望

取り組み当初、薬剤変更後のフォローアップは患者さんにも面倒なため対応していただけるか心配していましたが、実際に提案したところ、思った以上に喜んで受け入れていただきました。そのことにより、より深い内容のコミュニケーションができるようにもなりました。今までは薬剤服用後の体調変化は次の受診時にならないとわかりませんでしたが、服薬指導に積極的にかかわることで、問題なく服用できているかどうかの確認ができるだけでなく、副作用を疑う事例の炙り出しにも役立ちます。実際に処方医にその内容を伝えることにより患者さんの健康被害を食い止めることができ、処方医や患者さんから感謝の言葉をいただきました。今後も患者さんからも医療機関の先生からも選ばれる薬局であるために、この取り組みを継続していきます。

今後の目標は地域連携薬局の認定を受けること、時代に適応してオンライン服薬指導の実績を増やすことです。さらに、他職種の方と協働し患者さんの健康な生活に貢献できる、地域の基幹薬局になっていきたいと考えています。