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Vol.6フルーツは食べても大丈夫?
高尿酸血症の原因の1つとして果糖が注目されています。果糖は糖質の1つです。体内で代謝される際にその副産物として尿酸がつくられるため、過剰に摂取すると高尿酸血症へとつながると考えられています。では、その果糖を多く含むフルーツは食べてはいけないのでしょうか。また甘味剤として果糖が多くの食品に用いられていますが、何に注意すべきなのでしょうか。今回は、フルーツと果糖についてみていきましょう。
フルーツは食べた方がよい?食べない方がよい?1,2,3)
フルーツには、ブドウ糖、果糖、ショ糖などの糖質が多く含まれています。ブドウ糖については、尿酸値の上昇が認められていませんが、果糖については、血液中の尿酸が速やかに上昇することが1970年代の研究ですでに科学的に証明されています。また果糖は、糖分の中でも特に中性脂肪をつくる働きが強いので食べすぎると肥満もまねきます。
では、フルーツは食べてはいけないかというと、もちろんそうではありません。果糖が豊富に含まれてはいますが、フルーツにはそれ以外にもナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルや、ビタミン、食物繊維が多く含まれており、アルカリ性食品の1つとされています。尿酸はアルカリ性の尿に溶けやすく、酸性の尿に溶けにくいという性質があります。痛風や高尿酸血症の人は、酸性に傾いていることが多く、尿路結石などをできにくくするためにも、アルカリ性食品を摂取して尿をアルカリ化していくことは大切です。またフルーツに含まれるカリウムは、体内の塩分を排泄する働きがあり、生活習慣病の予防に役立ちます。
1日に食べてよいフルーツの量は?1)
では、1日にどのくらいのフルーツを食べてもよいのでしょうか?1日の摂取量の目安は、80キロカロリー(100〜200g)です。それ以上摂りすぎないように気をつけましょう。
具体的な目安は下記のとおりです。
果糖について、気をつけるべき点とは1,2,4,5)
果糖は、甘味剤として数多くの食品に使用されています。驚くことに、少し甘みを感じる程度の食品、たとえばヨーグルトやそうめんのつゆ、バーベキューソース、レトルトカレーなどにも入っているため、摂りすぎには注意が必要です。
なかでも特に注意しなければいけないのが、ソフトドリンクです。米国において1971年よりNHANES(National Health and Nutrition Examination Survey)が行っている国民健康栄養調査があります。20歳以上の成人14,761名を対象に1988〜1994年にかけて高尿酸血症との関係を検討した報告があり、ソフトドリンク摂取量と血清尿酸値の間には正の相関が認められています。この結果から、ソフトドリンクに含まれる果糖が血清尿酸値を上昇させていると考えられます。また米国の女性看護師を対象とした大規模疫学研究の看護師健康調査による報告では、ソフトドリンクを月に1本も飲まない人に比べて、1日に2本以上飲む人の痛風発作を起こす頻度は3倍以上になったという報告があります。ソフトドリンクには炭酸飲料やフレッシュジュースといわれる果汁飲料があり、後者は健康によさそうですが、オレンジジュースでみても、痛風発作を起こす頻度は2.5倍以上になることが明らかにされています。いずれも飲みすぎには注意が必要です。
喉が渇いたら、水かお茶を飲むようにしましょう。
参考文献
1)日高雄二 : 患者のための最新医学 痛風・高尿酸血症 改訂版 高橋書店 : 152, 159, 2020
2)仲川孝彦.:高尿酸血症と痛風 25(1):39-44, 2017
3)Stirpe F.:Lancet. 2(7686):1310-1311, 1970
4)Choi JW et al.:Arthritis Rheum. 59(1):109-116, 2008
5)Choi HK et al.:JAMA. 304(20):2270-2278, 2010