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Vol.4痛風・高尿酸血症になりやすい「性格」とは
生活習慣が痛風・高尿酸血症に影響を与えることは広く知られていますので、どのような人が痛風・高尿酸血症になりやすいかをイメージすることはそれほど難しくありません。それでは、どのような性格の人が痛風・高尿酸血症になりやすいかと聞かれたらどうでしょうか。今回は、痛風・高尿酸血症になりやすい「性格」についてみていきましょう。
痛風・高尿酸血症になりやすい人の特徴1)
痛風・高尿酸血症になりやすい人の特徴と聞かれたら、どのような人をイメージするでしょうか。「日常的に食べすぎたり飲みすぎたりしている働き盛りの30〜50歳代の男性、尿酸値が7.0mg/dLを超えている人、家族にも尿酸値が高い人がいる。体型は肥満傾向で特に内臓脂肪が多くて運動不足の人。」例えば、このような人が挙げられます。詳しい方であれば運動不足の人だけではなく、逆に「激しい運動を好む人」も特徴として挙げられるかもしれません。
では、痛風・高尿酸血症になりやすい性格は?と聞かれたらいかがでしょうか。
痛風・高尿酸血症になりやすい運動習慣
- ふだんあまり運動をしない
- 階段よりエスカレーターやエレベーターを使う
- 仕事はデスクワークが多い
- 買い物にはいつも車を利用する
- スポーツが大好きで、休日にはいつも何か運動をして汗を流す
- 思いきり汗をかいて、くたくたになるような運動を好む
- 人と張り合うようなスポーツを好む
痛風・高尿酸血症になりやすい性格1)
実は、痛風・高尿酸血症になりやすい人として、精神的なストレスを受けやすい人が挙げられます。人は、強いストレスを感じると交感神経の働きが強まり、心身の緊張状態が続きます。その結果、代謝が活性化され、尿酸の産生が促進されてしまうと考えられます。またストレスが溜まって体調が崩れると尿酸の排泄がうまく行われなくなり、体内に蓄積することで尿酸値が上昇する可能性もあります。
こうした強いストレスを受けやすい人にはいくつかの共通点があります。
これらの性格は、いわゆる「タイプA行動型(A型性格)」の人にあたります
(ちなみにタイプBはタイプAの逆の行動パターンで、急いでいる様子をみせず、話し方や行動などもゆったりとしていて、競争心や向上心を示しません)。これは、米国の循環器医フリードマンらによって、虚血性心疾患患者にみられる特有の行動パターンとして提唱されたもので、虚血性心疾患のリスクファクターとして考えられています2,3)。また痛風患者にみられる特有の行動パターンがタイプA行動型とよく似ていることに着目した研究が、本邦でも行われており2)、こういった行動パターンが痛風発症の原因であるとはいえないが、その病態形成に関連を有すると考えられることが報告されています。
痛風・高尿酸血症になりやすい性格
- 何事にも積極的
- 活動的で行動力がある
- 指導力がある
- 自己主張が強い
- 競争心や上昇志向が強い
- 負けずぎらい
- 周囲に対して攻撃的
- せっかち
- 物事に意欲的に取り組む
- 責任感が強い
- 一度はじめたことは最後までやり抜く
- いつも全力投球で物事にあたる
- 真面目で几帳面
ストレスを上手に解消するためには1)
実際に、強いストレスがあるときに痛風発作が起きやすいという印象があるかもしれません。現代社会に暮らしていると、ストレスをまったく感じずに生活することは、ほとんど不可能です。またストレスから暴飲暴食などにつながることも考えられます。性格を変えることは難しいですが、ストレスがたまらないように、自分なりのストレス解消法をみつけ、定期的に心身ともにリフレッシュすることは痛風・高尿酸血症の対策のためにも非常に大切です。ストレスはあって当たり前と考えてもらい、ストレスと上手につきあっていく方法を考えることが大切です。
RECOMMENDおすすめ簡単ストレス解消法
- 運動を楽しむ
- 適度な運動(特にウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動)は、肥満を解消し、他の生活習慣病の改善にも効果的です。ただし、激しい運動は、かえって尿酸値を上げるので要注意です。
- 生活のリズムを整える
- 特に質の良い睡眠は、心身の疲れやストレスを翌日に持ち越さないためにも大切です。できるだけ規則正しく、栄養のバランスも考えながら3度の食事をとるようにしましょう。
- 趣味や旅行を楽しむ
- どんなことでも何か趣味があるとストレス解消に役立ちます。趣味を楽しむ時間的余裕がなければ、音楽を聴いたり、カラオケで歌ったり、踊ったりすることも気晴らしになります。
- 自然を楽しむ
- 公園や森の中などを散策することはもちろん、庭やベランダでガーデニングを楽しむだけでも、良いストレス解消になります。
- 半身浴
- ぬるめのお湯に20〜30分浸かってのんびりすることで、心身がリラックスします。お湯に浸かりながら、本を読んだり、音楽を聴いたりアロマを楽しむのも良いでしょう。
- 腹式呼吸
- 腹式呼吸は胸ではなくお腹でする呼吸法です。5秒ほどかけて鼻からゆっくり息を吸い、15秒ほどかけて口から息を吐き出します。吸って吐くのに約20秒で1分間に3回ほどの呼吸が目安になります。この腹式呼吸を10回ほど繰り返すと、気分がリフレッシュします。
参考文献
1)日高雄二 : 患者のための最新医学 痛風・高尿酸血症 改訂版 高橋書店 : 34-39, 136, 2020
2)山中寿ほか.:Gout and Nucleic Acid Metabolism 23 (1):23-32, 1999
3)Friedman, M et al.:Journal of the American Medical Association. 169 (12):1286–1296, 1959